トロイヤ戦争の発端となったヘレネー。アフロディーテがパリスに与えた美女ヘレネーは人妻で略奪されたわけなんですよね。
トロイヤ戦争でのヴィーナス(アフロディーテ)
記事 アエネーイスから アイネイアースと母ヴィーナス
ヴィーナス(アフロディーテ)が金の林檎(一番美しい人への贈り物)を手にいれるために、パリスの審判で、パリスに耳打ちをした。
パリスの審判 三女神黄金の林檎を争うこと
このヘレネーは男の血を吸うことで咲き誇る花、モローの「神秘の花」に近い。
竪琴をもつ詩人が右側に 左下には天使が臥して
この作品にも、トロイア戦争とヘレネーを示すアトリビュートなどより、モローが象徴したい「竪琴」が描かれています。
ヘレネーとタイトルにあるので、トロイア戦争のヘレネーなんだとわかるだけで、一見すると「神秘の花」のような寓意画の感じ。ヘレネーの肖像画にはルーブル美術館の「トロイの城壁の下のヘレネ」(1885)が観賞する機会が多い作品です。
その「城壁のヘレネ」のモデルは女優ジュリア・バルテで、この「ヘレネー グロリフィー」とは違って、モデルの面影がはっきり残っている作品になっています。
そしてヴィーナスか女神かのように描かれたヘレネとは違い、地上のヘレネーを描いています。
「城壁のヘレネ」の足下には戦死者がいますが、そこにも竪琴が描かれています。パリスやアフロディーテによってヘレネーの略奪がはじまります。英国のバーン=ジョーンズはトロイの三連画(1872-98)に描きつづけた作品のなかに「ヴィーナスの闘争」がありますが、林檎を投げ入れた女神から略奪の闘争の場面までを描いています。
記事 エドワード・バーン=ジョーンズ ヴィーナス巡り
モローは多くの戦死者がヘレネーの足下に潜んでいるのに、平然と微笑んでいるヘレネーを描いています。略奪というより誘惑される嬉しさを表現しているみたい。
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